事業承継・M&A補助金

目次

はじめに

中小企業の経営者の皆さん、こんにちは。近年、日本では経営者の高齢化が進み、いわゆる「2025年問題」が深刻化しています。団塊世代が75歳を超えることで後期高齢者人口が急増し、事業承継が進まないことによる企業の廃業増加が危惧されています。

そこで注目したいのが「事業承継・M&A補助金」です。この補助金は事業承継やM&Aを検討している中小企業の強い味方となります。今回は2025年の最新情報をもとに、この補助金制度について徹底解説します。

事業承継・M&A補助金とは?

事業承継・M&A補助金は、中小企業の生産性向上と持続的な賃上げを目指して、事業承継に際しての設備投資やM&A・PMIの専門家活用費用などを支援する制度です。

この補助金は補助対象となる取組内容や経費の種類に応じて、以下の4つの枠組みで構成されています:

  1. 事業承継促進枠
  2. 専門家活用枠
  3. 廃業・再チャレンジ枠
  4. PMI推進枠

それぞれの枠で、補助率や上限額、対象者が異なりますので、自社の状況に合った枠を選択することが重要です。

2025年度の公募情報

2025年度の「事業承継・M&A補助金 専門家活用枠(11次公募)」の情報をご紹介します。

  • 公募要領公開日: 2025年4月18日
  • 申請受付期間: 2025年5月9日(金)~2025年6月6日(金)17:00まで
  • 申請方法: 電子申請(Jグランツ)のみ

現在は「専門家活用枠」のみの公募となっており、他の枠については今後の公募を待つ必要があります。

各枠の詳細と補助率・補助上限額

1. 事業承継促進枠

親族内承継や従業員承継を予定している中小企業者を対象とした枠です。

  • 対象者: 5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している者
  • 補助上限: 原則800万円(一定の賃上げ実施で1,000万円に引き上げ可能)
  • 補助率: 中小企業者は1/2、小規模事業者は2/3

2. 専門家活用枠

M&Aに関わる専門家の活用費用を支援する枠です。買い手と売り手の両方が支援対象です。

  • 買い手支援類型:
    • 補助上限: 800〜1,000万円
    • 対象: 経営資源を譲り受ける中小企業者
  • 売り手支援類型:
    • 補助上限: 800〜1,000万円
    • 対象: 補助事業期間に経営資源を譲り渡す中小企業者

いずれも、M&A支援機関登録制度に登録された専門家への委託費用が補助対象となります。

3. 廃業・再チャレンジ枠

事業承継やM&Aを機に廃業や事業縮小を行う事業者を支援する枠です。

  • 補助上限: 150万円(他枠併用時は加算可能)
  • 対象: 事業承継またはM&Aによる事業譲受後の廃業など

4. PMI推進枠

M&A実施後の統合プロセス(PMI)を支援する枠です。

  • 補助上限・補助率: 他の枠に準じる
  • 対象: M&A実施後の企業統合プロセスを進める中小企業者

申請方法のステップバイステップ

  1. 認定経営革新等支援機関へ相談する まずは身近な認定経営革新等支援機関に相談しましょう。商工会議所や金融機関などが該当します。
  2. gBizIDプライムアカウントを作成する 電子申請に必要なgBizIDプライムアカウントを取得します。取得には2〜3週間かかるため、余裕をもって準備しましょう。
  3. Jグランツで申請書類を提出する 必要書類を準備し、電子申請システム「Jグランツ」から申請します。
  4. 審査・採択 申請内容が審査され、採択されると交付決定通知を受け取ります。
  5. 補助事業の実施 交付決定後、補助対象となる事業を実施します。
  6. 実績報告・確定検査 事業完了後、実績報告を行い、確定検査を受けます。
  7. 補助金の交付 検査合格後、補助金が交付されます。

申請で必要な書類

申請に必要な書類は枠によって異なりますが、一般的に以下のものが必要です:

  • 住民票(発行から3カ月以内のもの)
  • 税務署の受付印のある直近3期分の確定申告書
  • 所得税青色申告決算書
  • 補助事業計画書
  • 積算根拠資料(見積書など)
  • その他、各枠で指定された書類

成功事例紹介

事例1:老舗和菓子店の事業承継(事業承継促進枠)

60年以上続く老舗和菓子店を父から息子が引き継ぎました。承継後、販路拡大と生産効率の向上のための設備投資を補助金で実施。インターネット販売の導入と製造ラインの近代化により、売上が20%増加しました。

事例2:印刷業のM&A型経営革新

株式会社小松写真印刷は、M&A型の経営革新に取り組みました。デジタル印刷技術を持つ企業を買収し、従来の印刷技術と組み合わせることで新サービスを開発。補助金を活用して設備投資と技術統合を行い、新規顧客を獲得することに成功しました。

事例3:専門家活用による円滑なM&A実現

飲食店チェーンを運営する中小企業が、後継者不在の問題を抱えていました。専門家活用枠を利用してM&A仲介会社に相談し、適切な買い手企業とのマッチングに成功。デュー・ディリジェンス費用を補助金でカバーし、スムーズな事業譲渡を実現しました。

まとめ

事業承継・M&A補助金は、中小企業の事業承継を強力にバックアップする制度です。2025年問題が迫る中、この補助金制度を活用することで、円滑な事業承継やM&Aの実現、さらには事業の発展につなげることができます。

申請期間や条件、必要書類などは年度によって変更される場合がありますので、最新情報は中小企業庁や事業承継・M&A補助金事務局のウェブサイトでご確認ください。

早めの準備と計画的な申請で、貴社の事業承継を成功させましょう!


お役立ちリンク


※本記事は2025年5月時点の情報をもとに作成しています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

専門家への相談や詳細な制度理解は、認定経営革新等支援機関や事業承継・引継ぎ支援センターにお問い合わせいただくことをお勧めします。

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