はじめに
中小企業の皆さん、こんにちは!今回は、2025年度に注目されている「中小企業成長加速化補助金」について、基本情報から申請のコツまで詳しく解説します。最大5億円という大型の補助金ですが、どのような企業が対象で、どのように申請すれば良いのか、わかりやすくまとめました。
中小企業成長加速化補助金とは?
補助金の目的
中小企業成長加速化補助金は、将来の売上高100億円を目指して大胆な投資を進める中小企業を支援するための制度です。日本経済のさらなる発展のためには、中小企業全体の「稼ぐ力」を底上げし、地域経済にインパクトを与える成長企業を創出することが重要だという考えに基づいています。
特に売上高100億円規模の企業は、一般的に賃金水準が高く、輸出による外需獲得やサプライチェーンへの波及効果も大きいため、地域経済の活性化に大きく貢献します。この補助金は、そのような成長を目指す企業の積極的な設備投資を支援します。
基本情報
- 補助率: 1/2(半額補助)
- 補助上限額: 5億円
- 最低投資額: 1億円(税抜き)
- 補助事業期間: 交付決定日から24か月以内
- 申請受付期間: 2025年5月8日(木)~6月9日(月)17:00まで(厳守)
- 申請方法: jGrantsによる電子申請
申請資格・要件
対象企業の条件
- 中小企業等経営強化法に定める中小企業者であること
- 売上高が10億円以上100億円未満であること
- 日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有していること
- 補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き)であること
- 「100億宣言」を行い、公表していること
- 一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定していること
- 日本国内において補助事業を実施すること
100億宣言とは?
「100億宣言」とは、中小企業が飛躍的成長を遂げるために「売上高100億円」という野心的な目標を目指し、その実現に向けた取組を行うことを宣言するものです。宣言には以下の内容を盛り込みます:
- 企業概要(足下の売上高、従業員数等)
- 売上高100億円実現の目標と課題(売上高成長目標、期間、プロセス等)
- 売上高100億円実現に向けた具体的措置(生産体制増強、海外展開、M&A等)
- 実施体制
- 経営者のコミットメント(経営者自らのメッセージ)
宣言した企業は100億企業成長ポータルに掲載されるほか、補助金や税制の活用、経営者ネットワークへの参加などのメリットがあります。
賃上げ要件について
補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)と、その3事業年度後(最終年度)を比較した「給与支給総額」または「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率が、補助事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上であることが必要です。
例えば、全国平均は3.2%ですが、東京都は2.8%、徳島県は4.3%など、地域によって異なります。申請時に目標値を設定し、従業員等に表明したうえで達成することが要件となります。
補助対象経費
- 建物費:
- 補助事業に不可欠な建物の建設、増築、改修、中古建物の取得費用
- 単価100万円(税抜き)以上のものが対象
- 機械装置費:
- 機械装置、工具・器具の購入、製作、借用費用
- 改良・修繕、据付け、運搬に要する経費
- 単価100万円(税抜き)以上のものが対象
- ソフトウェア費:
- 専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用費
- 改良・修繕に要する経費
- 単価100万円(税抜き)以上のものが対象
- 外注費:
- 補助事業に必要な加工や設計、検査等の一部外注費用
- 専門家経費:
- 補助事業遂行に必要な専門家への謝金、旅費等
※投資額(建物費、機械装置費、ソフトウェア費の合計)は1億円以上であることが必要です。 ※外注費と専門家経費の合計は投資額未満である必要があります。
審査のポイントとコツ
1. 経営力
- 100億円への明確な道筋を示す
- 中長期的なビジョンや計画を具体的に提示
- 補助事業がその中でどう位置づけられるか説明
- 高い売上高成長率と付加価値増加率を示す
- 市場分析と差別化戦略
- 外部環境(市場・顧客動向)と内部環境(自社の強み・弱み)を分析
- 自社の優位性が確保できる差別化された計画を立案
- 具体的な成果目標と管理体制を明示
2. 波及効果
- 積極的な賃上げ計画
- 投資で得られた利益を従業員へ還元する具体的な計画
- 必要最低限の賃上げ要件を上回る計画を策定
- 地域経済への貢献
- 域内仕入の拡大や地域における価値創造を示す
- サプライチェーンを通じた波及効果を説明
- 地域資源の積極的な活用方法を提案
- 社会的責任への取組
- パートナーシップ構築宣言の実施
- 事業継続力強化計画(BCP)の策定・認定取得
- ダイバーシティ推進(えるぼし認定、くるみん認定など)
3. 実現可能性
- 経営体制と実行力
- 計画を確実に実施できる経営体制の構築
- 早期に投資を実行する具体的なスケジュール
- 効果を得られる実績や根拠を提示
- 財務基盤
- 補助事業を遂行できる十分な財務状況を示す
- ローカルベンチマークでの好スコアを獲得
- 金融機関のサポート
- 金融機関のコミットメント(確認書の取得)
- 金融機関担当者をプレゼンテーション審査に同席させる(加点要素)
申請の流れ
- 準備段階:
- GビズIDプライムアカウントの取得(2週間程度要するので早めに)
- 100億宣言の申請・公表
- 投資計画の策定
- 申請書類の作成:
- 投資計画書(様式1)
- 投資計画書別紙(様式2)
- ローカルベンチマーク(様式3)
- 決算書等(3期分)
- 金融機関による確認書(様式4、該当者のみ)
- リース関連書類(該当者のみ)
- 電子申請:
- jGrantsシステムを通じた申請(期間:2025年5月8日〜6月9日)
- 審査プロセス:
- 1次審査(書類審査):2025年7月上旬に結果公表
- プレゼンテーション審査:2025年7月28日〜8月8日
- 採択結果公表:2025年9月上旬以降
- 交付申請と事業実施:
- 採択決定から2か月以内に交付申請
- 交付決定から24か月以内に補助事業を実施
- 事業終了後:
- 補助事業完了後5年間、事業化状況・賃上げ実施状況等の報告義務あり
申請時の注意点とポイント
押さえておくべき3つのポイント
- 生産性向上(UP)の明確化:
- 導入する設備・システムによって具体的にどのように生産性が向上するか
- 数値目標を含めた明確な効果を示す
- DXやAI活用など先進技術の導入も評価される
- 賃上げ計画の具体性:
- 最低要件以上の積極的な賃上げ計画
- 賃上げの仕組みや、投資による利益還元の流れを明確に
- 地域の水準を上回る賃金を目指す姿勢を示す
- 雇用創出(増人化)への貢献:
- 投資によって新たな雇用をどれだけ生み出せるか
- 地域の雇用にどう貢献するかを具体的に記載
- 質の高い雇用(専門職など)の創出を重視
申請書作成のコツ
- 論理的なストーリー構築:
- 「なぜ今この投資が必要か」「どのような効果が期待できるか」を筋道立てて説明
- 投資→生産性向上→売上/利益増→賃上げ/雇用増→100億円達成、というストーリー
- 数値目標の具体化:
- 曖昧な目標ではなく、具体的な数値で目標と効果を示す
- 過去の実績を踏まえた現実的かつ野心的な目標設定
- 金融機関との連携:
- 早い段階から金融機関と相談し、支援を取り付ける
- 金融機関の確認書は加点要素となる
まとめ
中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す中小企業の大胆な投資を後押しする手厚い支援制度です。最大5億円という大きな補助金を活用するためには、将来の成長戦略や地域への波及効果を含めた説得力のある事業計画が不可欠です。
申請の締切は2025年6月9日となっていますので、GビズIDの取得や100億宣言の公表など、準備に時間がかかる部分から早めに着手することをおすすめします。また、金融機関との連携や専門家のサポートを受けることで、採択率を高める事業計画の策定が可能になります。
この補助金を活用して、貴社の成長を加速させ、地域経済に貢献する「100億円企業」を目指しましょう!
お役立ちリンク
- 100億企業成長ポータル: https://growth-100-oku.smrj.go.jp/
- 公募要領・申請様式: https://growth-100-oku.smrj.go.jp/documents/subsidy/kobo_20250418.pdf
- jGrants(電子申請システム): https://www.jgrants-portal.go.jp/
この記事が「成長加速化補助金」の概要を理解し、申請準備を進める上でのお役に立てば幸いです。補助金の申請は複雑で時間がかかる作業ですが、しっかりと準備を整えて、貴社の飛躍的な成長につなげましょう!