ものづくり補助金

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はじめに

中小企業や小規模事業者の皆様にとって、設備投資や新製品開発のための強力な支援制度である「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(通称:ものづくり補助金)は、2025年度も継続して実施されることが決定しました。本補助金は、革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を通じて、中小企業の競争力強化と生産性向上を支援するものです。

今回は、2025年度のものづくり補助金について、最新の変更点、申請要件、支援枠、スケジュールなどを詳しく解説します。この情報を参考に、ぜひ自社のビジネス成長に向けた戦略的な活用をご検討ください。

2025年度ものづくり補助金の主な変更点

2025年度のものづくり補助金は、前年度からいくつかの重要な変更が行われています。主な変更点は以下の通りです:

1. 補助率の引き上げ

最低賃金の引き上げに積極的に取り組む事業者に対して、補助率が従来の1/2から2/3に引き上げられました。この特例を適用するための条件は以下の通りです:

  • 地域別最低賃金+50円以上の賃金で雇用している従業員が全体の30%以上いること

2. 補助上限額の見直し

従業員数に応じた補助上限額が改定され、特に中堅規模の事業者にとって魅力的な内容になっています:

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ特例適用時
5人以下750万円850万円
6~20人1,000万円1,250万円
21~50人1,500万円2,500万円
51人以上2,500万円3,500万円

3. 収益納付義務の廃止

2025年度の公募要領では、「収益納付は求めない」と明確に記載されています。これは大きな変更点であり、補助金を活用して得た収益を国に返還する必要がなくなりました。この変更により、企業は獲得した収益を自社の成長戦略に再投資できるようになり、より積極的な事業展開が可能になりました。

4. 支援枠の整理統合

支援枠が整理統合され、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つに整理されました。前年度のオーダーメイド枠は廃止されています。

2025年度ものづくり補助金の申請要件

ものづくり補助金の申請には、以下の基本的な要件を満たす必要があります:

  1. 3~5年の事業計画を策定すること
  2. 事業計画期間における年平均の付加価値額成長率が3%以上であること
  3. 給与支給総額の年平均成長率が1.5%以上であること
  4. 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上であること

これらの要件を達成できない場合は、補助金の返還義務が生じる可能性があるため注意が必要です。

支援枠の詳細

製品・サービス高付加価値化枠

この枠は、革新的な製品やサービスの開発に必要な設備・システムなどの導入を支援するものです。補助上限額と補助率は次の通りです:

  • 補助上限額:従業員数に応じて750万円~2,500万円(大幅賃上げ特例適用時は850万円~3,500万円)
  • 補助率:中小企業は1/2、小規模事業者・再生事業者は2/3
  • 最低賃金引上げ特例:地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いる場合、補助率は2/3に引き上げられます。

革新的な新製品・新サービス開発とは、顧客に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することを指します。単に機械装置・システム等を導入するだけの案件や、業界内でいすでに普及している製品・サービスの開発は対象外となります。

グローバル枠

グローバル枠は、海外事業を通じて国内の生産性を高めるために必要な設備・システム投資などを支援する枠組みです。以下のいずれかの海外事業が補助対象となります:

  1. 海外企業との共同事業
  2. 海外への直接投資に関する事業
  3. 海外市場開拓(輸出)に関する事業
  4. インバウンド対応に関する事業
  • 補助上限額:3,000万円(大幅賃上げ特例適用時は4,000万円)
  • 補助率:中小企業は1/2、小規模事業者は2/3

グローバル枠の最大の特徴は、従業員数に関わらず高い補助上限額が設定されていることと、海外旅費や通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費なども補助対象経費として認められることです。17次・18次公募での採択率は約24%と、他の枠よりもやや厳しい傾向がありますが、海外展開を計画している企業にとって非常に魅力的な支援枠です。

補助対象経費

ものづくり補助金の補助対象経費には以下のものが含まれます:

  • 機械装置・システム構築費(必須)
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

グローバル枠では、これらに加えて以下の経費も対象となります:

  • 海外旅費
  • 通訳・翻訳費
  • 広告宣伝・販売促進費

2025年度の公募スケジュール

現在、ものづくり補助金の19次締切(2025年4月25日締切)は終了し、20次公募が始まっています。今後のスケジュールは以下の通りです:

20次公募のスケジュール

  • 公募開始:令和7年4月25日(金)
  • 電子申請受付:令和7年7月1日(火) 17:00~
  • 申請締切:令和7年7月25日(金) 17:00
  • 補助金交付候補者決定:2025年10月下旬頃(予定)

今後の予定

2025年内には、21次、22次、23次と複数回の公募が実施される見込みです。各回の予想されるスケジュールは以下の通りです:

  • 21次公募:2025年9月頃締切、11月頃採択発表
  • 22次公募:2025年12月頃締切、2026年2月頃採択発表
  • 23次公募:2026年3月頃締切、5月頃採択発表

申請の流れと注意点

1. 対象確認

まずは公募要領を確認し、自社が対象となるかを判断します。事業内容や支援枠の要件を満たしているかをチェックしましょう。

2. GビズIDの取得

電子申請にはGビズIDのプライムアカウントが必須です。取得までに2~3週間程度かかるため、早めの準備が必要です。締切直前に作成申請すると間に合わない可能性があるため注意が必要です。

3. 事業計画書の作成

補助金申請の核となる事業計画書の作成には時間をかけましょう。新規性や市場性、実現可能性など、審査項目をしっかりと意識した内容にすることが重要です。

4. 電子申請

準備ができたら、jGrantsを通じて電子申請を行います。必要書類をすべて揃え、締切までに余裕をもって提出しましょう。

5. 採択後の手続き

採択された場合は、交付決定を受けてから補助事業を開始できます。交付決定前に事業を開始してしまうと、補助対象外となる可能性がありますので注意が必要です。

6. 事業実施と報告

補助事業の実施期間は、製品・サービス高付加価値化枠では交付決定から最大10ヶ月間、グローバル枠では最大12ヶ月間です。事業完了後は実績報告書を提出し、補助金の支払いを受けるための手続きを行います。

よくある質問

Q. 同じ年度内で複数回申請することは可能ですか?

A. 同じ年度内でも、異なる締切回であれば申請可能です。ただし、過去3年間に2回以上交付決定を受けている場合や、申請締切日を起点に14ヶ月以内に採択されている場合は対象外となる可能性があります。

Q. ものづくり補助金の採択率はどのくらいですか?

A. 直近の18次締切での全体の採択率は約36%でした。枠別では、製品・サービス高付加価値化枠が約36%、グローバル枠が約24%となっています。採択率は公募回によって変動するため、しっかりとした事業計画の作成が重要です。

Q. 補助事業期間内に事業を完了できない場合はどうなりますか?

A. 補助事業は原則として実施期間内に完了しなければならず、完了できない場合は交付決定が取り消される可能性があります。ただし、自然災害など事業者の責任によらない理由がある場合は、期間内に事故等報告書を提出し承認を受けることで、実施期間の延長が認められることがあります。

まとめ

2025年度のものづくり補助金は、補助率の引き上げや補助上限額の増額、収益納付義務の廃止など、中小企業や小規模事業者にとって非常に魅力的な内容となっています。特に、最大4,000万円の高額な補助が受けられる可能性があり、新製品開発や生産性向上のための設備投資に大きな後押しとなるでしょう。

現在は20次公募が進行中であり、申請締切は2025年7月25日です。GビズIDの取得から事業計画書の作成まで、申請には準備期間が必要となりますので、早めの検討をおすすめします。

ものづくり補助金を活用し、自社のビジネスを次のステージへと進めていきましょう。


参考資料

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