人手不足や離職率の高さに悩む事業者にとって朗報があります。人材確保等支援助成金は、職場環境の改善に取り組む企業を支援する制度で、最大287.5万円の助成を受けることができます。2025年4月からは制度が拡充され、より多くの事業者が活用しやすくなりました。
この記事では、人材確保等支援助成金の仕組みから申請方法まで、わかりやすく解説いたします。
人材確保等支援助成金とは?
人材確保等支援助成金は、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る事業主や事業協同組合等に対して助成する制度です。厚生労働省が実施する助成金で、人材の確保・定着を目的としています。
制度の目的
- 従業員の離職率低下
- 職場環境の改善
- 人材の確保と定着
- 働きやすい職場づくりの促進
2025年度の主要コース一覧
人材確保等支援助成金には、以下の7つのコースがあります:
1. 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース
最も活用しやすいメインコース
- 助成額:最大287.5万円(賃金要件加算時)
- 対象:雇用管理制度の導入、業務負担軽減機器の購入など
2. 中小企業団体助成コース
- 助成額:600~1,000万円(上限)
- 対象:事業協同組合等による構成企業への支援事業
3. 建設キャリアアップシステム等活用促進コース
- 助成額:建設技能者1人あたり16万円
- 対象:建設業界でのキャリアアップシステム活用
4. 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
- 助成率:支給対象経費の3/5~3/4
- 対象:建設業界での若年者・女性の入職・定着支援
5. 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
- 助成額:建設労働者1人あたり25万円など
- 対象:建設現場の作業員施設整備
6. 外国人労働者就労環境整備助成コース
- 助成額:1制度導入につき20万円(上限80万円)
- 対象:外国人労働者の就労環境整備
7. テレワークコース
- 助成額:制度導入助成20万円、目標達成助成10~15万円
- 対象:テレワーク制度の導入・実施
最も活用しやすい「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」を詳しく解説

助成対象と金額
A. 雇用管理制度の導入
制度 | 助成額 | 賃金要件加算時 | 上限額 |
---|---|---|---|
賃金規定制度 | 40万円 | 50万円 | 100万円 |
諸手当等制度 | 40万円 | 50万円 | 100万円 |
人事評価制度 | 40万円 | 50万円 | 100万円 |
職場活性化制度 | 20万円 | 25万円 | 100万円 |
健康づくり制度 | 20万円 | 25万円 | 100万円 |
B. 業務負担軽減機器等の導入
- 助成率:1/2(賃金要件加算時:62.5/100)
- 上限額:150万円(賃金要件加算時:187.5万円)
対象となる業務負担軽減機器の例
建設業
- 建築用ソフトウェア
- 油圧ショベル
製造業
- 洋菓子製造機器
- 容器洗浄機
運輸業・郵便業
- フォークリフト
- 電動アシスト台車
卸売業・小売業
- POSシステム
- 電動搬入・搬出カート
宿泊業・飲食サービス業
- ロボット掃除機
- 食器洗浄機
医療・福祉
- 車いす昇降リフト
- 介護ソフト
申請の流れ
STEP 1:雇用管理制度等整備計画の策定・提出
- 提出期限:計画開始日の6か月前~1か月前
- 提出先:都道府県労働局
- 必要な認定:労働局による計画認定
STEP 2:制度導入・機器導入の実施
- 認定された計画に基づき実施期間内に導入
- 対象労働者の1/2以上に適用
STEP 3:離職率低下目標の達成
- 計画期間終了から1年経過までの離職率を前年度比1%ポイント以上低下
- (従業員9人以下の場合は前年度を上回らないこと)
STEP 4:支給申請
- 申請期限:評価時離職率算定期間の末日翌日から2か月以内
- 提出先:都道府県労働局
主な申請要件
事業主の要件
✅ 雇用保険の適用事業の事業主
✅ 対象労働者の1/2以上に制度・機器を適用
✅ 離職率の目標達成
✅ 雇用管理責任者の選任・周知
労働者の要件
✅ 期間の定めのない雇用(または継続雇用)
✅ 事業主に直接雇用
✅ 雇用保険の被保険者
賃金要件(加算対象)
5%以上の賃上げを実施した場合、助成額が25%増額されます。
よくある質問
Q1:どのコースを選べばよいですか?
A1:多くの事業者には「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」がおすすめです。制度導入と機器購入の両方が対象で、最も活用しやすいコースです。
Q2:申請前に準備すべきことは?
A2:まず計画書の作成と事前認定が必要です。計画開始の6か月前から準備を始めることをおすすめします。
Q3:複数のコースに同時申請できますか?
A3:はい、条件を満たせば複数コースでの申請が可能です。助成金ポータルで詳細をご確認ください。
まとめ:今こそ活用すべき理由
人材確保等支援助成金は、以下の理由で今活用すべき制度です:
- 2025年4月から制度拡充:整備計画の新規受付が再開
- 最大287.5万円の高額助成:事業改善の大きな資金となる
- 幅広い対象:雇用管理制度から機器導入まで多様な選択肢
- 人材確保効果:離職率低下により採用コスト削減
人手不足が深刻化する中、職場環境の改善は企業の競争力向上に直結します。この機会に人材確保等支援助成金を活用し、働きやすい職場づくりを進めてみませんか。
申請をお考えの事業者様へ
制度の詳細や申請方法については、厚生労働省の公式ページをご確認いただくか、管轄の都道府県労働局にお問い合わせください。専門家のサポートが必要な場合は、社会保険労務士などの専門家にご相談することをおすすめします。
この記事は2025年5月時点の情報に基づいて作成されています。最新の情報は公式サイトでご確認ください。